DAY15 [3]日本人には本当の売値を言う宝石店
つぎに、去年アメジストを買った店にいったら
少しへらへらした感じのお兄さんだった。
あれ?このお店こんな感じだったかな
まあ入って入って、すわってすわって、といい、「NOタカイ」とか
ちょいちょい日本語まぜながらすすめてくるんだけど
あんまり押しが強くはない。
調子いいフリをしているけど、どこか不慣れで
経験が浅い感じがする。
たろさんがアンダリューサイトという石に興味を示したので
値段をきくと1カラット300だという。
買える範囲の値段なので、色のきれいなものを選んで
計算してもらったら、1カラットよりは少し大きくて
370と言われた。
これは少し安くなるかな、350にはなるだろう、と思って
「May I ask some discount?ちょっと値引きお願いしてもいい?」ってきいたら
お兄さんはちょっと困った顔になって
「日本人は値切らないから本当の価格を言ってるんで、できないんだ
中国人のときは違うんだよ。あのひとたちは値引きをしなかったら買わないから、
最初にすごく高くいって値引きをするんだけど、
日本人にははじめから、本当の売値を言っちゃうから、
値引きできないんだ」といった。
私は日本人なのに値切ったことがはずかしくなって
「わかった、ごめんね。
そのやり方はいいやり方だと思うよ」
といって、言われた値段を払った。
もしかしたら
「中国人に高いところから始めて値引きする」
というのと同じように、日本人には
「日本人は値切らないから
はじめからラストプライスを言った」というのが
そいつのやり方なんだよ、うまく乗せられたんだよ、と
思うひともいるかもしれない。
けど、このお兄さんのへらへらした営業の仕方も
あんまりプロっぽくないというか、
不慣れな様子がかえって誠実そうに見えて
だから私は彼の言うことは本当だと思った。
また来るときのためにお店の名刺をもらったら、
「ここに書いてあるのは兄の名前なんだ」といって
自分の名前と電話を書きそえてくれた。
去年ここでアメジストを買ったときは
彼みたいに不慣れな印象は持たなかったから、
あれは兄のほうだったんだろうな。
↓こちらのANBU GEMSというお店です。
たろさんは、さっきの白髪の店主の店の
星をあらわした石のセットが気になっているものの
ここから10分ばかり歩いたジェムタワーにも
もっといいものがあるんじゃないかと
考えているようだった。
しかしgoogle mapの評価を調べると
ジェムタワーの評価はあまり高くない。そのことを教えると
じゃあやっぱりここで買っていくといって、さきほどの
白髪の店主のお店にもどった。
そして、迷ったすえ、特別に800バーツにしてもらった
大きいほうの石のセットを買った。
けろりには、ここでミスティッククオーツのペンダントヘッド
100バーツを買っておみやげにした。
帰ってから渡したらたいそうよろこんだ。
おばあちゃんが以前ヨーロッパにいったときの
ユーロの残りがあって、
これを使ってしまおうと思って
3階のスーパーリッチ(両替所)に行ったら
パスポートが必要と言われ、両替できなかった。
そのあと歩いてジェムタワーまで行った。
もうお昼をまわっていたので、ジェムタワーの付近に
なにかよさそうな店があったらそこで食べようって
付近の食堂などをしげしげと見ながら行ったけれど
もうひとつこれという店が見当たらない。
おなかがすきすぎて
あまり間に合わせのもので
手を打ちたくない気分になっていた。
ジェムタワーに入ってみたけど、
ジュエリートレードセンターみたいに
手頃な石を扱う店はなさそうだったので
ほとんどひやかしただけで出てしまった。