DAY12 [4] アプサラダンス
戦いの火ぶたは切っておとされた
ほどなく料理コーナーの電気がついて人々が集まっていった。
「おいしいものは先になくなっちゃうし
同じものが補充されるとはかぎらない。
お皿の数に制限はないから、食べたいものは
早いうちにとってきて。
中国人ツアー客が来るともう行列になっちゃって
あらいざらいとってってなにも残らないから」
とみんなに言い含めて、
私たちも戦線に加わった。
これはカレーだったか
料理の台に人工芝・・・
食べ放題のときにはまず少量とってきて
味見してから、おいしかったものをリピートする
というのが鉄則だけれど
そういうきれいごとは次とりに行ったときまで
おいしいものが残ってる環境でのみ成立する。
こちらはサラダ
ディープフライドポテトって書いてあったけど
衣がぶあつくてこれはいただけなかった。
ここは戦場なので私たちは
当たるも八卦でおいしそうに見えるものは
たしかめもせずにお皿にとってきた。
そしてテーブルがいっぱいになったところで
ごはんを食べにかかった。
料理はカンボジア料理が主で、でもたくあんの巻き寿司、
キムチなんかもありつつ、サンドイッチやスパゲティなんかもあり、
ちょびっとずつ西洋料理や各国料理があった。
到底とりきれない種類の料理に加えてデザートもあった。
これはキムチ
海苔巻き
こちらはスイーツ。
かき氷の上に色々なゼリーや、
豆とか芋とかのココナッツ煮を盛って食べる。
レビューなどを見ると、ここの料理が
まずいって書いてるひといたけど、
だいたいどれもそつなくおいしくて、
問題なく楽しめた。
たとえば生春巻きなんかは
雑草つっこんでるとしか思えない味がしたけど
そういうのはごくわずかな例外だった。
飲み物は別にオーダーをとりに来るので、
おじいちゃんはビール、おばあちゃんはパイナップルジュース、
私たち夫婦と子供たちは2ドルの缶ジュースをたのんだ。
パイナップルジュースは3.5ドルもした。
パイナップルジュースなんかどうしてもここで
飲む必要ないのに、おばあちゃんから「パイナップルジュース!」って
言われてなんで素直にOKしたのか自分でもわからない。
おじいちゃんだってトイレが近くなるのに
なぜここで2.5ドルも出してビール飲むかな。
(安いけど)
でもなんというか、今日はせっかくのビュッフェレストランで、
ダンスを見て楽しむんだから、
豪勢にやりたくなる気持ちもわかる。
(いや安いんだけどね)
おじいちゃんはたろさんに肩をもんでもらっていた。
ハッピーバースデー誰かさん
7時に、楽器チームの演奏が始まって、20分ぐらい続いた。
楽器チームが演奏を終えて下がっていくと
放送でハッピーバースデーの音楽が流れ、
誰が誕生日なんだろうね~と言っていたら、
お店のひとたちが舞台のすぐ前の席に
キャンドルのついたケーキをもっていき、
白人の大柄なおじさんが立ち上がった。
手をあわせてケーキを受け取った。
なんか少してれくさそうに、だけどしっかりと
店全体に手をあげて挨拶すると
会場全体から拍手がわきおこった。
おじさんはろうそくを吹き消してもう一度会場に挨拶した。
会場は600人収容できると書いてあったと思う。
ほとんど満員のアプサラダンスの会場で
600人のひとたちから祝われた照れくさい誕生日
きっと忘れられないだろうね。
アプサラダンスのスタート
そして間もなくふたたび演奏が始まり、
舞台の上に天女が現れて
アプサラダンスが始まった。
演目は、10分ぐらいのものが
6種類ぐらいあっただろうか?
すごく洗練されてるってわけではないけど
ラーマーヤナの物語を下敷きにしていたり
かと思うと海辺の村を舞台にした恋のダンスであったり
十分に盛り上がり、楽しめる内容だった。
ココナッツの殻で軽快なリズムをとりながら踊る
ココナッツダンス
Googleが勝手に作ってくれたGIFアニメ
金の魚とハヌマーンの物語をベースにしたダンス
漁村の男女の恋のダンス
このレストランは、中国人ツアー客が前の方で
ほとんどステージ見もしないでギャアギャア騒いで、
立ち歩いて本当に邪魔だし不愉快だった、というレビューも見ていたので
そういう可能性も覚悟していたんだけど
私たちの列は一番後ろの2テーブル以外は全部日本人で
前方の方たちもみなさんマナーはよくて、
私たちは楽しめた。
支配人さんが席を変えてくれた理由
前のほうのテーブルは大きいツアーのお客さんみたいで
一日観光したあとに来たのか、疲れて寝てるひととか
飽きてYouTube見ているひともいたな。
ほんというと、勿体ないので席ゆずってほしかった。
そしてこのとき、私はもしかしたらだけど
支配人さんが、お礼も受け取らないのに
席かえてくれた理由がわかったかもしれない。
このレストランは庶民的で、そんなに芸術性の高い
ステージをやってるわけじゃないけど
やっぱこのアプサラダンスってカンボジアが
世界に誇る文化遺産で、それを世界からの客人に
見せているって自負があるわけじゃない。
どうせやるならそんなに興味なくて
ツアーのついでに来て寝てるひとよりも
できるだけよく見たいって意欲のあるひとに見てもらいたい
そう思って変えてくれたんじゃないかなって
そんな気がした。
この男性のほうは、初代相棒の亀山くんに似た
背の高いイケメンなのに
女性のほうは松金よね子似のキッツい顔したひとで
なぜこのひとをヒロインに選んだかな~・・・・
今日は雨が降って、夕方にはほとんど涼しくなったんだけれど、
レストランの中は暑くて喉がかわいて、
あとから大きい水ボトルをたのんだけど
なかなか来なくて熱中症になるかと思った。
おじいちゃんは、座りっぱなしでおしりが痛くなってしまったらしくて
むずかしい顔をしていた。
とくにここのイスはちょっと座面が高くて
足先が浮いてしまうのでそのぶんお尻に体重がかかって
痛くなってしまうらしかった。
途中からパパさんが、リュックを提供して
足の踏み台にしてお尻の痛みを緩和してたんだけど
しばらくしてやっぱり座っていられなくなったようで、
トイレにいったあと、脇のほうで立って見ていた。
ふたたび天女たち・・・と思ったが
冠が違うところを見ると
こんどは王妃様と宮廷の女性たちかな?
飲み物の会計$17
演目の間をぬってウェイターが席にやってきて
テーブルごとに会計をすませており、
会計を済ますとちらほらと帰り始める客もいた。
うちのテーブルに最初に会計が来たときは
まだ大きいお水が来ていなかったので
「水頼んだのに来てない」といったら
一旦さがっていって、水を持ってきたあとに
もう一度会計をしにきた。
最後に注文したお水をいれて17.05だったので、
17ドルと100リエルを2枚で支払った。
滞在終わりかけのいまごろやっとわかったんだけど、
1ドルが4000ということは、1セントが40。
ということで、5セントは200なんだね。
セントの位は4倍するとリエルになるんだね!
スーパーなんかでもらった細かいおつりが
正しいかどうかさっぱりわかってなかったけど。
(気づくの遅すぎ。)
舞台の上で記念撮影
すべての演目が終わると拍手が起こって
これまで出てきたすべての踊り子さんたちが
舞台の上に並んだ。
このあとは舞台に上がって
踊り子さんたちと写真とれるらしい。
しかも基本的にチップは要らないんだって。
さっそくたろさんとけろりを連れて舞台まで行き
漁師の踊りのかっこうのお兄さんたちと、
天女のお姉さんたちと、
ささっと写真とらせてもらった。
今朝かったアリババパンツをはいてるたろさんと
前進ユニクロのけろり。
おじいちゃんが立ってみていた場所から席に戻ってきたときには
すっかり疲れて、ホテルに帰ると言っていたんだけど、
「あそこいって写真とりたいなあ・・・」
と見上げていたと思ったら、
決意したようにたろさんにカメラを渡して舞台にかけあがり、
天女のお姉さんと記念写真をとっていた。
舞台の下でおじいちゃんの写真を
とってあげていたパパさんも、
よしそれじゃおれも、といって
かけあがって天女さんたちと写真にうつっていた。
天女さんたちは、踊ってる間からそうだったんだけど
プロフェッショナルらしく、あくまで人形みたいに
表情を消してるひともいれば
なかには舞台の上でもなにか雑念が消えない感じで
キョロキョロしてしまうひともいて色々だった。
客待ちのトゥクトゥクに囲まれて
レストランの外に出ると、トゥクトゥクの運転手がむらがってきた。
こういうところで客待ちしてるトゥクトゥクは
あんまりたちがよろしくないから乗りたくないがなあ
「どこに行くんだ?」
「何人だ?6人?じゃあ2台だな」
「アヌサ?1台3ドルだ」
と口々に勝手に決めていく運転手たち。
最終的にはPassAppがある、と思っていたので
強気で
「アヌサまで2ドル!2台もいらない、1台でいい!」
と主張してたら、OKと言ってくれる運転手がいて、
乗せてもらって帰ってきた。
さっきからバラバラと帰っていくお客がいたので
あの運転手さんは2回目か3回目だったんじゃないかな、
(だから安い料金でもOKしてくれたんじゃないかな)
とパパさんは推測していた。
そうだったかもね。